3/04/2010

ボヤき節

こんにちは。ガネーシャ店長です。
雨で寒い1日の東海地方でした。
明日も雨らしい。
日曜までお天気はよくないらしい。
みなさま、風邪など召さないようどうぞご自愛くださいませ。

今日はちょっとボヤいてみようと思う。
っつーか、毎日ボヤいてるようなもんだけけど、シビアにボヤいてみようと思う。

ネパールで不思議な人に会った。
チベ系の石屋さんで。
ワシらが作り込みのよいNEWdziを見せてもらっている時だった。
現実をよく理解されている方はもうご存知だと思うが、作り込みのよいNEWが今とても少ない。
原因はわかっているので、今後レベルの高いNEWが簡単に手に入ることは現在あるものが無くなってしまえばもう可能性はないに等しい。
何で?って気になる人は店舗にお越しくださいね。
その店にもあるかなぁ?と思って立ち寄ってみた。
あるにはあるけど、その中でもやはり良いものは少ない。
ご主人は昔からよく知っている人なので、「もういいのはこれだけだけど、好きなの選んでいいよ。」と言ってくれた。
そこでワシらが選んでいる時だった。
「それって、新しいのですよね?」と声をかけてきた日本人がいた。
ワシらとあまり年回りが変わらないくらいの男性だった。
イマドキですか?と思うような一昔前のバックパッカーな風貌だった。
「えぇ、そうですけど。。。」
同業者?いや、違うだろう。
「古いのってないんですかね?
 僕、パキスタンで古いって言われた二眼が300ドルだったんですよ。」
「え?300ドル?アンティークで?二眼の完品で?」
「えぇ、そうなんですけど、高いかなと思って買わなかったんですよ。」
完璧に同業者じゃないな。
しかもアンティークを見分けることも出来ないし、イマドキのアンティーク事情もご存知ないわな。
「高いですよね?」
・・・高いか?みなさん。
「それが本物で欲しかったら買えばいいけど、いくらパキスタンでもアンティークの完品二眼が300ドルはないでしょ。」
いつの時代のモノサシでそれを高いと判断したのかわからない。
「業者の方ですか?ネパールにアンティークありますか?もっと安いですか?どこの店先にも置いてないみたいなんですけど。」
意味がわからない人だわね。
アンティークが店先にゴロゴロしてるって思ってたんだ。
「まぁ、いちおう店の人ですけど、アンティークは難しいですよ。」
と答えた。
「とんぼ玉とかも好きなんですよね。コレって石ですか?何ですか?」
オイオイ、それはナガ族のグラスビーズだぞ。
しかもそれはナガ族風のNEWビーズで、あっちにあるのが本物アンティークだぞ。
「それは、グラスビーズですよ。」
と、いちいち説明する気力もないので、やんわり答えた。
「あ、やっぱりわかるんですね?」
おのれ、誰にモノ言っとんじゃい!
わからんかったら、わざわざネパールまで来んぞ!
などとちょいと前のワシなら思ったところだけど、こういう人はホントに多い。
多い上に増えている。
オークションなんかに出したりしてる素人さんも増えてるしね。
それを喜んでゲットしてる人も増えてるってことだね。
悪循環は断ち切れないのかもしれない。
その後彼は、店の人にアンティークを尋ねることもなく消えてしまった。
一体、何がしたいのだろう?
ホントにとんぼ玉が好きなのだろうか?
っつーか、とんぼ玉って解ってる?

チェンマイで、ギャラリーを営む友人に会った。
中国少数民族にとても詳しい人だ。
雲南から帰ったばかりだと言う。
彼は何も聞いてないのにワシを見てすまなそうに言った。
「アイコ、残念。雲南にはもう本物の民族シルバーはないぞ。」って。
これも原因はわかっている。
勘のいい方はもう気づいたかもしれませんが、何で?って思った方は店舗にお越しください。

チェンマイの町に、やたらとモン族リス族の店が増えた。
店と言っても路上に並べたものや、テントのようなものだ。
数年前は、彼らは乗り合いトラックバスに乗って村から通っていた。
今は違う。
村を出て毎日店を出しているという。
仲良くなったリス族の女性は、メーホンソンの近くに村があるという。
しかし、彼女もチェンマイにアパートを借りている。
彼女らが売っているものは、申し訳ないが手刺繍でも手仕事でもはない。
ざくざくの機械仕上げでそれらしいものだ。
観光客がお土産で購入するならいいけどね。
しかし現実は、彼らの相手は業者である。
「こういうモノだ」と解っていて購入するなら別にいい。
「こういうモノ」だからそれなりの価格なら別にいい。
しかし中には、無知で無恥な業者もいる。
それを信じて高い金払って買う人もいる。
ここにも悪循環が存在してるわ・・・そう思うと、ちょっと悲しいな。

アンティークシルバーの師匠の一人を訪ねた。
彼女は笑う。
「もうこういう状態よ。」って。
そして言った。
「アイコのギャラリーの方がたくさんあるでしょ?」って。
確かにな・・・。
自分が時の流れの中の一点に過ぎないことを感じる瞬間だった。
アンティークを扱うというのは、歴史や時の重みも扱うようなものだ。
「スゴイ!!」とワクワク時もあるけれど、だいたいは現実を見せられて胸が痛くなることの方が多い。

オシャレに程遠い業者さんに出会った時も、複雑で心が痛くなるが、それとは重みが全然違う。
衣料・小物系の業者は資本力が振る舞いに現れるのだとわかっているから。
そうでなければ、仕事の捉え方のベクトルがワシとは大きく違うだけだとわかっているから。
でも、アンティークは過去と現在の繋がりを直に感じ、そして未来まで予測できてしまう。
未来が明るければ、これほど心は痛まないのかもしれない。

愚かな人間の愚かな行いは、どの時代でもどの地域でも、そして今この瞬間にもあることだ。
デフレは安売り合戦で、そのうち消費者も安いものがナンバーワンという価値観を無意識に植え付けられている。
体にいいもの食べなくちゃ野菜を取らなくちゃと言いながら、地元農家の作ったものより安い輸入品を購入する。
エコだの何だの言いながら、まだ使えるのに買い換える。
はたまた逆手にとって、オーガニックだのフェアトレードだのと現実を知らない人たちがファッション的に仕掛ければ、何の疑問も持たずに飛びつく。
お気楽極楽な世の中だこと。
気持ち悪くないかい?
ワシだけか?

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